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薄膜抵抗器の特徴 : 低雑音・低歪
1.抵抗体で発生する電流雑音
抵抗器の内部で発生する雑音としては大きなものは材料の不連続な部分での雑音です。厚膜抵抗器の材料構造は導電性の粒子と絶縁性のガラス混合物が焼成されたものです。電流(電子)は導電性粒子が点で接続された部分に流れます。粒子の接点を電流(電子)が通過する際、その接点で熱の発生を伴った物理変化が生じ、流れる電流に変化が生じる結果となります。これは抵抗率が微妙に変化する事と同等であり、雑音として現れます。さらに抵抗器はその性質上電力を熱に変換しますが、熱による膨張収縮は粒子間の接点に影響を与え、熱雑音として現れます。
薄膜抵抗器は厚膜抵抗器とことなり、材料構造は金属による金属間結合であり、電流(電子)は金属間結合の結晶格子の中を流れます。材料の不連続な接点は無く、これに起因する雑音の発生はありません。このため薄膜抵抗器の雑音は環境温度に関係なく非常に低いものとなります。


2.第三次高調波歪
抵抗器で発生する雑音に密接に関係のある特性として、第三次高調波歪(抵抗器の直線性)があります。理想的な抵抗器はオームの法則に従った電圧電流特性となりますが、実際の抵抗器はわずかに非直線性を示します。この原因は抵抗器に正弦波電圧を印加したときに、抵抗体の内部で発生する起電力により部分的に電流と電圧に比例せず歪を生じるためです。この歪は印加された正弦波の高調波成分として分解する事が出来ます。その中で最も大きな値として現れてくる第三高調波を歪として定義したものが第三次高調波歪(第三高調波歪)です。
電流歪の発生個所としては異種導体の接続部分にあり、電流が流れるときに発生する熱起電力を含む電流のゆらぎとなり、これが雑音の一要素となります。この電流のゆらぎが大きいほど直線性が悪くなり、第三次高調波歪も大きくなります。第三次高調波歪みは、異種導体の接続部分での接続の不完全さ、或いは抵抗体上に電気的に接触した金属異物等を検出する方法として利用されております。
薄膜抵抗器の電子の流れ
ピュアな真空で連続的に形成された、電極薄膜と抵抗薄膜間のスムースな電子の流れで低歪


厚膜抵抗器の電子の流れ
厚膜材料中の金属粒子と誘電体材料の無数の点接触による電子の攪乱による歪発生
オーミックでない電極材料と抵抗材料の境界で歪発生














